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きものQ&A
きもののサイズはかなり融通が利くと言われますが?
最近の洋服は5号から20号ぐらいまで幅広く細かくサイズがあり、自分のサイズさえあればすぐに着られます。ところがきものは、ふつう37センチぐらいの幅と約12メートルほどの長い生地を、大小8枚の矩形に裁断してほぼ直線に縫ったものです。
逢い上がったきものは平面的で、どこにもボタンもファスナーも付いていません。この平面約なものを着る人に合わせて身体に巻き付け、紐や帯を使ってその人にあった衣服として形づくっていくのです。ですから巻き付け方や裾の上げ具合、襟元の合わせ方で少々のサイズなら調節できるわけです。
女のきものの場合は、着る人の長さより20センチぐらい長く仕立てられていて、長い分を端折って腰の位置で紐を結んで調節しているので、端折る部分を少なくすればちょっと背の高い人でも同じきものが着られるのです。つまり自分より+−5センチぐらいの身長の差の人なら大丈夫です。ただし身長の割に細い人、太っている人はその程度によって融通が利きません。身幅が極端に違うきものは着にくいものです。

洋服の場合、裏の付いてないものでも冬に着て平気ですが、きものの場合は?
きものの世界では、10月から5月までは袷、つまり裏付き、6月から9月までは裏のない単衣仕立てを着るのが基本的なきまりになっています。千年の都であった京の貴族たちは、とくに美しい四季の移り変わりを生活全般に取り入れることを旨としていましたので、衣生活でも季節によって衣替えをするきまりをもって暮らしていました。
そうしたしきたりが明治以後の制服にも採り入れられていて、6月になると全国一斉に白い半袖の服に着替えたものです。しかし南北に長い日本列島では、北海道と沖縄では2カ月ぐらいの気候の差があります。衣替えの基本は京の都の暦からきたものですから、早い目に単衣になっても一向にかまいませんし、暑ければ10月に単衣を着ていてもいいでしょう。ただし、一般に季節を先取りする方がお洒落とは言えます。

女性の帯結びというと、「お太鼓」がほとんどですが、他の結び方をしてはいけないのでしょうか?
現在、最もポピュラーなお太鼓結びが出来たのは文化10年、江戸・亀戸天神の太鼓橋が再建されたとき、深川の芸者衆がそれにちなんだ結び方をして渡り初めをしたことに始まるなどと言われます。背中に背負っている部分をお太鼓と言いますが、この結び方の形を保つためには帯揚げや帯締めが要ります。実用から始まった帯揚げや帯締めが、やがてきものの重要な付属品になり、そのお洒落も競うようになったわけです。
お太鼓結びは、その後、帯結びの主流になりましたが、同じ文化10年に発行された「都風俗化粧伝」という総合美容読本の帯結びの項には、文庫結び、だらり結びなど当時流行していた20種類以上の結び方があげられていますが、いずれも長い帯を付属品を使わずに結んだものです。現在でも、成人式の振袖には、ふくら雀やお文庫などの変わり結びがあるように、お太鼓結びにこだわらなくてもいいのです。あなたも一つ変わった結び方を発明して流行らせてみてはいかが?

桜の柄は春にしか着てはいけませんか?
「日本の春」と言えば桜、しかも「三日見ぬ間の桜」と言われるほど命の短い春の花です。近頃のようにきものを着る機会が少なくなると、春だけにしか着られないのはもったいない、と言うことで「いや、春でなくても着ていただいて結構です」などと言う人もあります。数年前に亡くなった作家の宇野千代さんが桜好きで、季節にこだわらずよく桜を着ておられたことも桜の季節感を広げました。しかし、せっかく桜を身につけるのならやはり春だと思います。もっとも桜の花びらの小紋など、一見桜とわからないようなデザイン化されたものなら、まあ、あまりうるさく言わない方がいいでしょう。何と言っても「着たい」気持ちが一番です。

季節の柄はどのくらいの期間身に付けられますか?
もともと季節の花や景色を衣服の上に描くのは、四季を愛でる心からきたもの、誰かが桜の模様のきものを着ていたら、見る人もそこに春を感じます。その意味でも現実の花の季節に先駆ける方がお洒落です。目安としては、その花の季節の1カ月前ぐらいから、満開の一歩手前ぐらい、でいかがでしょう。そうなると、桜を身に付ける期間はうんと限られますが、梅などはお正月から2月の中頃まで十分身に付けられますね。

きものは紋が付いているとフォーマルなのですか?
紋は家紋、着る人の家柄を象徴するものです。紋の歴史はもともと、平安朝の貴族が衣服や車に付けていた系統のものと、武士たちが戦場で敵味方をはっきりさせるために掲げたものからきたのと2つの系統がありますが、江戸時代後半には天皇家から町人まで、それぞれ家の紋が出来ていました。そして明治以後も、公の席に出るときは自分の出所を示す家紋を衣服に付けることが約束になって続いてきました。ですから盛装と言えば豪華な文様の付いたきもの、と思われがちですが、正装となると、やはり家紋の付いた衣服を身につけるのが第一の条件でしょう。

紋の数は多いほど正式ですか?
原則としてそう考えていいでしょう。男女とも黒地に白抜きの5つ紋付きが最高の正装で、紋は背中、後ろ両袖、両胸に付けます。次が三つ紋、背中央と後ろ両袖に付けます。一番簡単なのが一つ紋、背に付けます。

家紋がわかりませんが、どうしたら?
お母さんがあまりきものを着られないお家では家紋に無関心な人も少なくありません。そんな場合はおじいさんやおばあさんに訊ねてみましょう。
どうしてもわからない場合、あなたが新しく創ってもいいのです。家族制度より個人が重視される最近ですから、あなただけの紋があってもいいと思います。自分の好きな花などをデザインしてもらうのもいいでしょう。江戸時代にも、本来の家紋以外に替紋と言って新たに優美な紋章を創ることが行われ、大名の中には伊達氏の7種、山内家の9種などと多くの替紋を持っている家柄もありました。留袖や喪服などを貸し衣裳した場合、ふつう最もポピュラーな五三桐が付いていますが、貸衣裳にその時だけ自分の家の紋を貼り付けて着ることもできます。いずれにしても、家紋は日本人が伝えてきた見事なデザインですから、むずかしく考えずに自分をアピールする表現手段として生かしてはどうでしょう。

結婚するとき持っていく礼装には、どちらの家紋を付けるの?
女性の付ける紋に関しては、近世になって、別の発展をしています。関東と関西では紋の風習が違うのです。一般的には、関東勢は家紋使用、つまり嫁ぎ先の家の紋を付けますが、関西勢は女紋使用です。女紋とは、母から娘へ代々受け継がれる紋です。このほか、実家の家紋、実家の夫人用替紋、婚家の夫人用替紋などいろいろあります。誰でも自分の実家で行っている風習を当たり前と思っていますが、相手先のそれとは違って、伝統に忠実な地方ではあとで問題が起こる場合もあります。紋の風習については、新しくつくるのなら先方の意見を聞くなり、少なくとも了解を得た方がいいようですね。

結婚式に出席する親族は黒留抽でなければいけないのですか?
結婚式と披露宴が続けて行われる場合が多いですが、結婚式に出席するのは、近親者を中心としたびく身近な人達です。黒は極まった色なので、現在の日本では皇室は別として一般の婚儀や葬儀に出席する近親者は黒を着るのが原則です。近親者として人生最大の儀式に、気持ちを同じくして出席するということの表現ではないでしょうか。しかし、新婦の兄嫁などになると色留袖でもかまいません。未婚の妹などは振袖でいいし、洋服の場合は黒とは限りません。披露宴にも新郎新婦の母親や仲人は黒い留袖です。これは近親者であることを示すとともに、花嫁を引き立てることにもなっています。何と言っても当日の主役は花嫁ですから。